量子開放系のダイナミクス
近年、ナノテクノロジーなど、微小世界に対する実験技術が発展し量子力学的原理を用いた新たな技術創成が進んでいます。例えば、量子情報処理や量子輸送等の分野では、電子や原子核、イオン、光子といったミクロな実体に対する精密な制御が可能となってきています。しかし、ミクロな実体を完全に孤立させることはできません。これらは周囲をとりまく環境世界の影響を必ず受けています。
そこで、上記の技術創成には、この環境世界の影響の評価が必須です。多くの場合、環境世界の影響は量子制御を困難にします。しかし、最近は環境世界の影響を利用した制御についての提案も行われており、今後の理論発展が期待されています。この環境世界を取り込んだモデルを量子開放系と呼びます。当研究室では、量子情報処理や量子輸送等に対する環境世界の影響を評価するとともに、この利用方法の提案に取り組んでいます。